医師が教える「老けない」運動&食事習慣
医師が教える「老けない」運動&食事習慣

医師が教える
「老けない」
運動食事習慣

美と健康のために運動と食事をしていても、
むしろそれが逆効果に?
「健康意識の高い人でも間違った知識で体によくないことをしている人も多い」と黒田先生。
トライアスロン日本代表にも選出された
敏腕アスリート医師が指南!

医師 黒田あいみ 先生
東京美容外科沖縄院院長。Zetith Beauty Clinic勤務。学生時代に乳がんの患者さんに出会い、「女性のための外科医」になることを決意。その後、術後の再建をより深く学びたいと美容外科医の道へ。子供のころから競技スキーの選手としてスポーツへの情熱を燃やし、2017年ITU世界トライアスロンシリーズの日本代表に選出された経歴を持つ。
エイジングケアや美容のみならず健康、運動、栄養学まで精通する医師として多くのアスリートからの信頼も厚い。

『アスリート医師が教える最強のアンチエイジング食事術51 運動術26』
/ 文藝春秋

激しい運動が老化の原因に?

体のために適度な運動をすることは大切ですが、過度な負担をかけては逆効果です。例えば運動慣れしている人が5~10キロ走るのは問題ありませんが、普段運動をしていない人がいきなり10キロを走ると体に大きな負担がかかり、健康とは真逆の方向に。問題は激しい運動をしたときに発生する「活性酸素」です。活性酸素が過剰になると、シワ、シミ、たるみなどの見た目の老いだけでなくがん、動脈硬化、高血圧、糖尿病など体にさまざまな悪影響を及ぼします。
私たちの体には活性酸素を分解する酵素を持っていますが、酵素の量や分解のスピードには個人差があります。同じ運動量でも活性酸素が溜まりやすい人もいれば溜まりにくい人もいますので、自分で判断する場合は「疲労感」を目安に。運動後、あまりに疲労感が続くようでしたら活性酸素が溜まり始めているサインです。

運動はローテンションで
バランスよく

ひとつの競技を極めるアスリートは別として、一般の方がアンチエイジングのために運動するのであれば、複数のスポーツをローテーションするのがおすすめです。私は現在、怪我によりトライアスロンのトレーニングを休止中ですが普段はボクシング、ピラティス、ヨガ、ゴルフなどの運動を週3回ほど行います。体の動かし方がそれぞれ違うので、自然と体のバランスが整っていくんですよ。

トップアスリートの約40%以上が
月経周期異常に

もう一つ、女性にとって大事なのがホルモンバランスです。糖質・脂質ゼロなどの食事制限や激しい運動で「月経が止まった経験がある」という女性も多いのではないでしょうか。ホルモンバランスは運動や食事によって左右されやすく、一度崩れると元の健康な状態に戻るまでに時間がかかります。健康維持のために運動や食事法を実践している方はぜひ一度自分の月経周期が正常かチェックしてみましょう。
国立スポーツ科学センターの調査では国内トップアスリートの約40%が無月経を含む月経周期異常だというデータがあります。生理が止まると免疫力が落ちて最大限のパフォーマンスを発揮できませんし、対処が遅ければ不妊の原因にもなりますのでみなさんが思っている以上に注意が必要です。

美と健康を保つ食事とは?

美と健康を保ち、運動のパフォーマンスを上げるには「摂るべきもの」よりもまずは「控えるべき食べもの」について知っておきましょう。どんなに質のよい栄養素を摂っても体の中に炎症があるとそれらを効率よく吸収できません。代表的なものが「腸の炎症」です。まずは炎症を起こしやすい食べものを排除して腸内環境を整えることが先決です。

控えるべき食べもの

体内で分解されにくく、
腸内や血管を傷つける原因になるもの

  • 砂糖
  • 小麦
    (グルテン)
  • 乳製品
  • アルコール
  • カフェイン

すべてを排除できればベストですが、忙しい現代女性がこれを実践するのはかなり難しいかも知れません。かくゆう私も甘いものが好きなので、ストレスを溜めない程度に頂きものや外食でスイーツを楽しんでいます。その代わり、自宅には砂糖類を一切置かず、料理のときは羅漢果や天然由来のオリゴ糖を使うなどの工夫をしています。みなさんもできる範囲で除々に減らしていき、体の変化を感じてみてください。

体にリスクのあるものを控える食生活に慣れてきたら、次は体によいものを。体によいものとは、ざっくりいうと「バランスのよい和食」です。昔から言われている「まごわやさしい」食材を積極的に摂りましょう。

  • まめ
    (豆類)

    豆
  • ごま
    (種実類)

    ごま
  • わかめ
    (海藻類)

    わかめ
  • やさい
    (野菜類)

    やさい
  • さかな
    (魚介類)

    さかな
  • しいたけ
    (きのこ類)

    椎茸
  • いも
    (いも類)

    いも

これらの食材はどれも栄養素が豊富で内臓に負担をかけず、運動する人のエネルギー源となります。

サプリ、プロテインの
上手な活用法

マグネシウム、亜鉛、ビタミンB、C、D、ミネラル、オメガ3の良質な油など、運動習慣のある方が補うべき栄養素はさまざまです。私は30種類ほどのサプリメントを常備して、体の声を聞きながら毎日5~10種類ほどを飲んでいます。何をどれくら摂るとよいかは個人差がありますので一概には言えませんが、先述の食事と同じようにいちばん大事なのは腸内環境。ですので、腸の状態が気になる方には、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌=プロバイオティクスのサプリメントをおすすめしています。

ちなみにプロテインは運動習慣のある方なら馴染みがあると思いますが、飲むタイミングと種類について少しアドバイスを。まず、プロテインは消化するのに負担がかかりますので、健康な人が飲むのが大前提です。アクティブに活動している人でも今日は体調が悪いな、と思うときは飲むのを控えましょう。飲むタイミングは、運動後のリラックスタイムなど体を休めるタイミングで。運動前に飲むと、消化にエネルギーが使われてパフォーマンスが落ちてしまうのでNGです。また、毎日プロテインを飲むという方はホエイとソイそれぞれ交互にするのがベター。週2回くらいなら1種類でも問題ありませんが、毎日であれば1種類だけを継続して飲むのはおすすめしません。食品でも何でも、ひとつのものを偏って摂るのは健康リスクにつながります。何事もバランスよく、まんべんなくが大事なのです。

運動は楽しみながら
ストレス解消を

運動は「体に負荷がかかりすぎない程度に、楽しく」が基本だと言いながらも私自身、トライアスロンという過酷なレースに挑むトライアスリートです。スイム、バイク、ランと3種類をトレーニングしては紫外線や活性酸素による悪影響を受けてアンチエイジングとは真逆のことばかり。それがきっかけで「運動によって引き起こされるエイジング」について学び始めたのですが、体に負担がかかると知りながらも競技を続けているのは、他では味わえない達成感があるから。ゴールしたときの高揚感や幸福感は何ものにも代えがたく、それがタフなトレーニングの原動力になっているのです。

そして実はこの「心が満たされているかどうか」もアンチエイジングの重要なポイントです。運動をしてドーパミンエンドルフィン、アドレナリンの分泌が増えると免疫力がアップし、幸せホルモンが出ることで内側の美しさにつながります。美と健康を目指す人はぜひ「正しい食事」「正しい運動」、さらには笑顔でいられることをたくさん見つけて毎日ハッピーに過ごしてくださいね。

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