日々の忙しさに心も体も疲れ、さらに連日の暑さで体もバテぎみ。
一人でモヤモヤしたり、誰かにイライラして目の前の状態に集中できずに「私にはマインドフルネスが足りてない?」なんて思うことも。
でもマインドフルネスって実際は何のこと?
専門家の荻野淳也さんに聞いてみました!
PROFILE
荻野淳也
一般社団法人マインドフルネスリーダーシップインスティテュート代表理事。大手企業やリーダーにマインドフルネスベースのリーダーシップや組織開発のプログラムを提供するなど、日本におけるマインフルネスの社会実装をめざし幅広く活動中。Googleで開発されたSearch Inside Yourselfの認定講師。
書籍:『心のざわざわ・イライラを消す がんばりすきない休み方』(文響社)
よく誤解されがちなのですが、「マインドフルネス」とはスッキリと気分がよい、満たされている状態という意味ではなく、今の自分の状態に気づく「気づきの力」のことを意味します。つまり、たとえ気分がスッキリしていてもしていなくてもそれに気づいていれば「マインドフルネス」ということ。きちんと意識を向けて自分の状態に気づけていれば、では自分はどうありたいのかという次のアクションを選択することができるので、セルフマネジメントにつながります。逆に心と身体が疲れているのに気づかず無理をしていると、頭はいわゆるオートパイロット状態に。ボーッとして注意散漫になったりスマホをダラダラと見続けたりして、しっかりと目の前の状態に集中できなくなってしまうのです。
なんとなく疲れたな、モヤモヤするなと感じたら、それはどこから来るのか「気づき」に意識を向けるためにも「体と頭と心をそれぞれ整理してみる」のがオススメです。例えば体が疲れていたらサウナやマッサージで整えよう、心がザワザワしていたらスマホから離れてみよう、頭の中が考え事でいっぱいなら休息を取ろう、とか。方法は人それぞれですが、自分のどの部分が疲れていのるかを知ることで「では何をすればいいか」とその先の行動に移すことができます。
自分のどこが疲れている?
体=運動したりシャワーを浴びてもスッキリしない?
心=気分が上がらなかったり、落ち込んでしまう?
頭=考えすぎて頭の中でずっと一人会話が続いている?
ではここで、誰でも簡単にできるマインドフルネス瞑想をご紹介します。瞑想といってもあやしいものでも難しいものでもありません。やり方は椅子に座って深呼吸するだけ。このとき雑念が浮かんでも問題ありません。雑念が湧いているんだな、とあるがままに受け止めましょう。マインドフルネスでは、なんでも「できた」「できない」とジャッジしない考え方が大切とされています。
基本の姿勢
1.椅子に腰掛け、骨盤を立て、脚は組まずに地面に足裏がついていることを意識して座ります。
2.背骨の1本1本がまっすぐにスッと伸びるイメージで背筋を伸ばし、肩を3~4回まわして胸を開いていきます。
3.両手を膝の上にのせます。
4.目を閉じるか半眼にして、ゆったり構えます。
5.息を鼻から吸って鼻から吐き出します。吸うときにお腹が膨らむ複式呼吸がベストですが、自分でリラックスできる呼吸で構いません。5~10分間瞑想します。
この瞑想を毎日5~10分行っていると多くの方は3週間ほどで心の変化を感じてきます。理想は毎日続けることですが、忙しくて時間が取れない方は1分だけでもいいですし、瞑想じゃなくても構いません。毎日のシャワーの中で少しマインドフルネスを意識して深呼吸する、などご自身の習慣に取り入れやすい方法で続けてみてください。
仕事の予定を頼まれるままに、プライベートの予定を誘われるがままに入れていくと、あっという間にスケジュールがいっぱいになってしまいますよね。忙しくても充実していればよいのですが「忙しくて休むヒマがない!」と疲弊してしまう状態ならば、一度タイムマネジメントを見直してみましょう。休むべきタイミングできちんと休息が取れていないと、やるべきときの集中力が下がって逆に生産性は下がってしまいます。「休みを組み込んでいても予定外のことが起こるとスケジュールが押して休みがなくなってしまう」という方は、「スケジュールも心も2割の余白を持つ」ことを意識してみてください。2割の余白があると心の余裕が生まれますし、休む時間をキープしたまま急な事態にも対応できるのではないでしょうか。
マインドフルネスとは「気づきの力」であり、気がつくためには「しっかり目の前のことに集中している状態」を意味します。例えば何かを食べるとき、目の前の食べ物に集中して五感を使って味わうのがマインドフルネス。スマホを見ながら漫然と食べていては「目の前の食べ物に集中している」とは言えませんよね。SNSを上手く活用する分にはよいのですが、ボーッと次から次に出てくる動画を観続けてしまうのは、「自分の時間が奪われている」ことだと認識しましょう。いわゆるアテンション・エコノミーですが、誰かの注意を引くことが経済活動になっている現代では、いろんなプラットフォームが個人の時間を奪おうと躍起になっています。それにまんまと乗っかってSNS漬けになっている人はアテンション・エコノミーの犠牲者。それに気がつき、ではどうするのかを選択をするのはあなた次第です。SNS疲れだな、時間を取られいるなと感じる方は、ときどきスマホと距離を置くなどしてみてはいかがでしょうか。
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